「ゲイですか?」と聞かないで。

あなたにゲイに対する差別意識が全くなかったとしても。あなたが「ゲイですか?」と聞く人に100%の好意しかなかったとしても。あなたに悪意がなくちょっとした好奇心を満たすためだけの行動だとしても。もう二度と「ゲイですか?」と聞かないでほしいのです。

 

その人は過去にいじめを受けていたのかもしれない。誰かから「あいつ、おかまだろ」「気持ち悪い」とかって心ないことを言われていたのかもしれない。「ゲイですか?」と聞かれるとき、その人は過去のいじめを思い出しているのかもしれない。

 

その人は怖がっているのかもしれない。今だに同性愛が死刑の国はあるし、同性愛者であることが理由の私刑で殺されている人がいる。「ゲイですか?」と聞かれるとき、その人は身の危険を感じているのかもしれない。

 

その人はホモフォビア(同性愛に対する嫌悪感などを持つこと)なのかもしれない。「ゲイですか?」と聞かれるとき、その人はゲイである自分自身を攻撃しているのかもしれない。

 

その人は家族を守りたいのかもしれない。今だに同性愛に対する偏見は根強く、全員が克服できるわけではない。誰かに自分がゲイであることを言ったら、いつか家族の耳に届く可能性がある。「ゲイですか?」と聞かれるとき、その人は自分自身がゲイであることで家族が壊れることを想像しているのかもしれない。

 

その人はセクシャリティの理解度の低さについて嫌になっているのかもしれない。これは個人の問題だから、どうぞ放っておいてください。「ゲイですか?」と聞かれるとき、その人は社会に絶望しているのかもしれない。

 

だから、もう誰に対しても「ゲイですか?」と聞かないでほしい。そして、できれば、誰かが誰かに「ゲイですか?」と聞いているところを目撃したら、「そういうことはしないほうがいい」と諌めてほしい。もしあなたがそう諌めてくれるなら、世界はもう少し良い場所になると思う。それに、「ゲイですか?」と聞かれるとき、すごく孤独に感じる。その時に誰か味方になってくれる人が近くにいることがわかったら、どれだけ素晴らしいことだろう。

 

そして、もしあなたが「ゲイですか?」と聞かれて、周りの誰もが「そういうことはしないほうがいい」と言ってくれなかったとしても。あなたは、自分自身で「そういうことはしないほうがいい」と相手に伝えてほしい。もちろん、ゲイであるかどうかに答える必要はない。あなたはあなたが言いたい時に、言いたい人に、自分がゲイであることを伝えたらいい。誰かに聞かれて言うべきものではない。

 

いつか、「多様性を大切に」なんてわざわざ言われるまでもなく多様性が大切にされている世界がきたらいいと思う。でも、いまは違う。だから、闘おう。